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【映画】『花束みたいな恋をした』感想

2020年頃に息をして暮らしてる若者の恋愛映画。人物像が詳細で丁寧で、実際の固有名詞を使って人柄を表現しているから自分の世界と地続きに生きてる人たちなんだと感じやすい。好き。

 

一生出会うかわからないくらい程の意気投合した麦と絹が付き合って別れる話です。

「付き合うなら趣味が合う人がいい」のは誰もが納得できるけど、好きすぎて許せなくなる時、同じ界隈だけどそれは地雷、みたいにすれ違うきっかけになる可能性が十分にあるもので、麦と絹は出会いからバッチリくっついて離れないくらい同じだった。しかもそれが知ってる人は知ってる、でもアングラすぎない知ってる人がいたら嬉しい、こちらからしたら「ああそっちの辺りの人たちね・・・」となる層。SNS好きだろうな。

 

押井守を神として邦文学、邦ロックを好んでswitchでゼルダをやる。調布駅徒歩30分の賃貸に住みベランダでチルして黒猫を飼う。かーーっ私もそういう生活してええ〜!とリアルに羨ましい限り。プラス、付き合いたてのいつまでもひっついてたい感じ、どこでもそこでも若さにかまけて好きなようにやってるのも羨ましいし、恋愛に縁遠い人には嫉妬で狂って死ぬ描写なんじゃないかと思った。

2人が付き合うことになって信号待ちしてる間、手・・・繋いだ!!って辺りが私は最高潮でした。これからの楽しさが確約された感じがして、、

 

幸せが続かなかったというか、生活は大小変化しながら続いていくものだから、ちょっと就職するだけだから、というのはそれはそれで正しい。どっちが悪いとかそういうことではないんだけど、大人が『大人になる』って言葉で封じ込めてる気持ちを「私たちは大事にしたいのに」ってもがいてる姿を見てるとやり切れない。

 

麦君がブラック(というほどでもないけど残業出張激務あり仕事)に就職して全く定時に帰れないで無趣味になって変わってしまった、という風にも見えるけど、男性に期待されてる仕事の責任は人生捧げるも厭わぬレベルが蔓延ってるし、逆に絹ちゃんと同じ仕事は麦君にできない。(求人がない)

絹ちゃんが定時終わりでテキれる仕事をぽいっとやめてイベント会社の派遣に転職できるのも女性は給料とか昇給の圧がないからだし、いわば特権とも言える。だから「好きなことしてたい」と言った絹ちゃんを子供っぽいと思う麦君は普通だし、その気持ちを殺して生きてる麦君にとっては残酷なことだなと思った。

2人の感覚が違いすぎて喧嘩してる様子は、子供ができても父親にならない夫に対する妻の怒りに似ているように見えた。

 

ラスト、お互い別れ話をしようとしてたのに麦君が日和って「やっぱり別れたくない」「子供を作って手を繋いで歩こう」「車で出かけよう」「ディズニーランドに行こう」はなんて悲しいシーンなんだと!!聞きながら冷えてる絹ちゃんが不憫で、、。生活像が貧相で・・・いや良いんだけど、これまでの文化に浸かりきっていた生活を思うと、なんというか聞きかじった結婚生活を咀嚼しないで垂れ流していて、それを良しとする麦君・・・もう確定しまっていて、その後もダメ押しで・・・泣けました。名シーンだね。

 

 

見たのが2022年なのでちょっと前の去年だか一昨年だかがあやふやで話をしっかり追えなかったのが悔しかったー。多摩川の氾濫が〜は本当に最近あったので、あったあった!と思えてよかった。気になる人は早めに見てほしい。アマプラにはまだきてないのでレンタル500円で見ました。

めっちゃ良かったああ。