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映画『アデル、ブルーは熱い色』始まりから終わりまで美しい。

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目線

アデル、文系で感受性豊かで可能性しかない女子。エマ、美術を勉強していて文学・哲学の知識が深い青髪の女子。どっちの気持ちも汲めるので、ケンカのシーンと別れのシーンがとても切ない。出会いからもうできすぎていて、運命を感じてもいいような出来で、バーでエマに話しかけられた時なんかほぼ両想いの気持ちになってしまって熱くなる。こんなお姉さん好きになっちゃうなあ…とアデルが羨ましい。

 

当たり前のように結ばれて生活するけど、いつまでも恋愛の温度でいられるもんではない。アデルの言う「寂しかった」は偽りないまっすぐな本心なのはよくわかった。求められたい欲っていうのがそれはそれであって、「外でちょっと解消してきた」ぐらいの軽いやつで。一番愛してるのはエマで離れたいからそういう行動したつもりじゃないから、「こんなことになるなんて・・・」と思ったろうな。浮気は別れる覚悟のうえでするものだと私は思っているので、あのエマの閉ざし方はすごく共感できる。むしろ浮気をしてたのに修復したいと言ってくるのも図々しいと感じてしまう。

クリムトは華やか」論争で頑なに「違う」と言い続けたエマの固さを見れば、いい加減なことできないなあと思う。(すごい面倒な人っぽい)

 

アデルとエマ、それぞれの家族との会話やパーティの雰囲気も対比になっていて面白く残酷だった。まったく違う”タイプ”だから合わないということではなく、合わないからこそ魅力を感じるよねえと。エマ家、二人をカップルとして扱って将来の話、前夫の話までフランクにできて知的。かたやアデル家、保守的な価値観で夫となる人に支えられて生きるのが前提で仕事は安定一択。いつも同じパスタ。エマをいち友人として紹介。つらい。エマも「あーはいはい」みたいにかわしててかっこ良かったけどね。自分の家族が固定観念ガチガチに出してくる話してたら身の置き場ないなーと。夜はしっかり愛し合ってるのすごい。親入ってこないか身構えてしまって心地は悪かった。

 

ラスト、エマがアデルを展示のパーティーに呼んだのにとても優しさを感じた。というか男と浮気して「寂しかった」と責めた言い方してきた元カノとそつなく会話できるエマの器よ。呼んでまた再燃するかもしれないのに、ちゃんと感じて一人で帰宅するアデルもえらかった。一生忘れられないけど、想いを抱いて生きていくしかない。

 

・・・

地味に、エマがアデルに創作を勧めるシーンでキュッとした気持ちになる。できたらいいけど、する生活を営む余裕がないというか。何者でもない人への期待って、する方はそうだろうけど…と、何者でもない私に刺さったりしていた。高校生の可能性込みでアデルを好きになっていたら、先生という属性になってからエマにはどう見えていたのかなーと思う。

こういう半径1m人間模様のストーリー好きです観て良かった。表情のどアップカットが多くて言わずとも感情が漏れてくるのが観てて嬉しい。たぶん自分を投影しやすいから。

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