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【Netflix】『ボクたちはみんな大人になれなかった』感想

エモくなるためにエモいもんを作った~!て感じ。

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でも良い映画でした。嫌いだけど好きだと思った。好きなところと嫌いなところが両立して面白いと思った作品て私の中で珍しいかもしれない。

2021年作。東京オリンピックxコロナx現代x過去が混ざり合ってちゃんとリアル世界だった。過去編なんかは、フリーターとか渋谷系とか円光とか、私より上の世代の話なので本当っぽかったかどうかはわからないけど、10円タワー作って電話するだとか夏場は扇風機とうちわで凌ぐだとか、空気感はすごく身近に感じられた。

 

すごいのは、森山未來。最初の業界おっさんはなんか汚くて疲れた人で「ああ年相応だあ」てなるんだけど、若返る度に「年相応だ」「年相応だ・・・!?」てなってしまって、何?何でこんなに佇まいが自然なんだろう。顔つき?姿勢?全くわからないけど、違和感がなさすぎて怖かった。肌感も全然ちがかったね。

伊藤沙莉は安定すぎて、若い頃どっぷりサブカルしてたけど落ち着いて家庭作ってマラソン大会まで出る流れわかりすぎるほどだった。合ってた。”ちょっとヘンな子”に振り回される俺~というの、アニメとかにもあるやつだなあと思ったけど、良いもんは良いだねえだった。昔のシーンはやっぱり、良いところしか思い出さないからそこしか描かれないわけで、だから観てて心地良いところが夢みたいな映画だなーと。

その二人に負けない存在感があったSUMIRE。好きになれないけど、すごい良かった!一目見ただけでミューズ感しかなくて、運命の相手のように惹かれるんじゃなくて、吸い込まれるような魅力があった。実際にああいう売春部屋があったのかはわからないけど、モデルのような美人が流れ流れてああいう仕事に就いて、”ボク”と出会って・・・というの、思い出の蜜が濃すぎる。。一生すすれる。。

 

大人になった自分が美しい思い出にダイブして、観てるほうも一緒にエモ~!となるけども、最後現代に帰ってきたいまの”ボク”がちゃんと嫌なおっさんで、臭くてイヤなんだけど人間らしくて実に良い。現代というのは、2021年で東京オリンピック2020でコロナで緊急事態宣言中のこと。で、部下にはマスクずらして話しかけるし飲みの誘いだし、婚約者にはどっちつかずで別れるし。取引先のパーティーでグラビアの女の子持ち帰るし。なんなのコイツって感じ。ぼんやりぼんやりその時なんとなく良い感じで生きてきたクソみたいなおっさんで本当に嫌い!

同じになりたくないしなるつもりもないけど、でも現実はそれ込みで、”ボクたちは”の表現が薄っぺらくなってなくて、結局丸ごと良い・・・ってなった。

矛盾してるかな?でも人生とか気持ちとか思想はゼロイチではないはずなので、こういう感想もあるはず。。

 

よく、大人は大人の振りした子供で~とか、年齢を重ねたから大人になるわけでない、とか本当そうだな、と思うけどその概念を1つのペルソナに落とし込んで映像にしたものがこの映画なのだなーと。稀代の名作ではないけど、なんか等身大の若者()映画で面白く観れました。