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映画『何者』を観てやっぱり就活は異様だと感じる

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本編1時間半

映画としては短いような…地上波放送で2時間枠だったらカットしないでちょうどいいのかも?なんて日本的な発想で苦い気持ちになった。

 

佐藤健有村架純菅田将暉二階堂ふみと、トップ俳優が勢ぞろいでいつも見る顔なじみ感が濃い。といっても映画は4年前のものなのでその頃観てたら若手俳優達の意欲作と感じられたのかもしれない。脇も岡田将生山田孝之でなんというか、ミーハーにはたまらないキャスト。ちなみに音楽も中田ヤスタカfeat.米津玄師で隙がない。

 

この映画には訳知り顔でアドバイスしてくるおじさんやおばさんがいない。全部若者だけで回っている世界で、私はそれが良いと思った。教授やバイト先にいる年上の人と接しても、自分の物語に関与してくるほうが珍しいくらいなんだから、こういう半径1メートルしかない人間関係の話は好きだ。

 

主人公キャラとして”らしい”ニュートラルなタクト(佐藤健)とコミュ強のコータロー(菅田将暉)、妖精っぽくて人間味のないミヅキ(有村架純)と意識高い系のリカ(二階堂ふみ)。クリエイティブ思考で就活を腐すタカヨシ(岡田将生)がメインのキャラクター。いるいるーと思える性格やエピソードがあって面白い。就活って学生が内定をとるために”内定がとれる姿”をコピーするわけだから、リカやタカヨシのキャラクターはリアルだしいて当然だろうなと思った。

 

意識高い系は就活に限らずうっとうしいが、企業だの大手だのをかぶってでしか物を語れないのは滑稽。本編でも意識高い系や自称クリエイターが幅を利かせてマウントをとってくるが、タクトの裏垢の話になってから話が一転する。リカやタカヨシに対して冷えた目線を送っていたタクトは、Twitterの裏垢で匿名をかぶって言いたい放題している激ダサ人間だったのだ。これまでのニュートラルさが醜いネット弁慶に変わることでタクトの印象は地に落ちたが、裏垢で言いたい放題しているのは今時珍しいことでもないのが厄介。現実世界にいる自分と、ネットでキラキラしてる姿、ネットで悪口をいう姿、現実でキラキラを装った姿と就活用の姿…何が自分なのか・自分じゃないのかあやふやで構成された自分は『何者』なんだと、ほんとにタイトルが秀逸。

 

就活はいまやリクルートが儲かるための市場になっていて、あのシステムに入ってしまったら歪さに心身を病むのは当然。新卒制度だけがずーっと残っていてSPIだのグループディスカッションだの”就活のため”の勉強が必須なのは異常だと思う。もう転職は当たり前になったし副業が推されたりして、段々と形は変わっていっているけどこれまでやってきた新卒制度が終わることはない。私は何となく就活をしなくてバイトして転職して…とそれなりに生きてこられたけど全く問題はない。『就活しないといけない』なんて視野が狭くなって『就職できないから死にたい』など考える人がいない世の中になってほしい。

 

リクルートは学生の行動ログを基にしたデータで内定辞退率を企業に販売してた。

www.jiji.com

www.recruitcareer.co.jp

 

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