吉田潮著『産まないことは「逃げ」ですか?』を読みました。
「逃げじゃないよ!!」って言ってもらうがために苦しんでる人へ書かれた本なのかな~?と思って読みましたが・・・(ひねくれてるので)
人生で絶対まとわりつく結婚や妊娠との距離の取り方、付き合っていき方が赤裸々に書かれた良著でした。
著者である吉田さんはフリーライターで取材に飛び回る仕事人間。
20代はピルを飲んで夜が激しかったし酒もたばこもやっていました。
再婚した彼との子どもを望むようになり、妊活を始めます。
生理のたびに消沈し、1度は妊娠するものの流産してしまい心が折れてしまいます。
子どもをあきらめ、たまに黒い気持ちが心に湧いたりしたけど、元気に生きてる!!
という内容でした。
こんなに開けっぴろげに経験を話してくれるのは貴重だ!と思ったし、今後同じような機会はないような気がします。
私自身、結婚も考えているし子どもだって考えてないわけない。
どうしても頭でっかちになりがちな話題に興味はあります。
結局「産むが易し」なんだろうな~というところまで至りましたが、ポンポンッ!と事が進むわけもなく二の足を踏んでる状態です。
結婚までは想像できるし、なんかいけそうな気はする。
子ども・・・?これまでろくに子どもと接してきてなくて向いてるか向いてないかすらわからない状態で十分なお金もないし将来も不安だし・・・と、後ろ向きな理由がたくさん出てきます。
私の場合、自分がしたい!したくない!を軸に生きてきた自負がありますが、こと結婚や子どもに関しては家族の話なので同じ理屈でいけません。
「親に孫の顔を・・・」とか、「まわりの友達は出産してて・・・」とか、当たり前に意識してた周囲について著書内で触れていたのは新鮮でした。
だってそりゃー気にしますよね。自分だけの話ではないし。
でも、吉田さんは改めて「自分はどうしたいか」を軸に据える重要さ、自覚が必要であると言います。
出産には「産む」「産まない」「産めない」があります。
吉田さんが経験した不妊治療の内容を読み、本当に大変だしやりたくないなって思いました。(病院行って半日かかるのに採卵できないことがあるって・・・50万て・・・)
「産まない」ことを決めて生きていくのは簡単です。
だけど、「産まない」人生は長く、トライしていないことで一生後悔するのがこわい。
吉田さんが子どもを持たない人生を歩むと決めてからの文章は、なんだか晴れ晴れしているように感じました。
それは「ここまでやってできなかった」が強くあるからです。
もちろん残念だけど、踏ん切りってここまでしないと着けられないんだと思いました。
未婚でもおかしくない世の中になったからこそ、子どもを持つかを「選ぶ」ようになりました。
体裁を保つ必要がなくなったからこそ、当事者の「どうしたいか」という気持ちと真正面から向き合って決断しなきゃいけないんだと。
この本は吉田さんの「私の場合はこうだった!」という内容でしかないので、不妊に悩んでいるとだけでなく、私みたいな人生の後輩にも参考になりました。
子どもがいる人にとっても、子どもを産めない人の考え方が追体験できるこの本を読むと、また世界が違うように見えるだろうと思います。
おわり