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『おやすみプンプン』を読んだ

読後、「大人だから耐えれた 10代だったらやられてた」と呟いたけど、嘘です30代の今めちゃくちゃくらってる!!読んだ後ぼや~っとして、全然ギューってしてる。

 

強烈なファムファタル。性衝動と自意識と痛み全部乗せで本当に、思春期に読んでなくて良かった。もし多感な時期に読んでいたら憧れておかしくなってた。

小学校時代、”虐待を受けていた愛子ちゃん”を助けようともしない展開で、設定はエッセンスなんだと気づき冷静になった。一般的に正しいとされるもの(愛子ちゃんを虐待から救う、両想いになる、キレイな学生生活を送る)は描こうとしてないんだな、と理解った。

 

全体的にジメッとした漫画だった。でも続きは気になる。”幸せ”にはならないことだけはわかる。プンプンはイジイジウジウジばっかりで行動しなくてこっちがいらいらしてくる。なのにモテるし、その数百倍女(女体?)を求めてる。人の気持ちを考えもしないで自分の事だけ、保身だけ。それでいいと思ってて結果何とかなってる、甘ったれだ。

対して、出てくる女の子たちは魅力的。田中愛子はもちろん、翠や幸も可愛いし息づいてる。プンプンを狂わすほどの田中愛子を説得力を持って描いているのがすごい。「言ったよね 次嘘ついたら殺すって」のとこ、最高でした。(台詞はおぼろげ)

”都合よく”なんだけど、都合が悪いと物語にならない。私はこれを『おやすみプンプン』のメタ的に捉えていたんだけど、外れてもいないっぽい。

gumichoko.hatenablog.com

考察を読んで、びっくりした。幸の漫画なの・・・?!と。確かに、プンプンのデザインは友達の落書きだったけども。だから途中までは面白いけど最後はそんなでもない終わり方だったのか?(日常は取り立てて面白くない)何重構造にもなってる漫画はすごい・・。好みの問題といえばそれまでだけど、田中愛子の裸のシーンが思ってたより淡白で。何なら行為のシーンも素っ気ない。あれだけ、あれだけ渇望していたものなのに、もっとネットリいやらしく神々しく描けるはずなのに・・と思っていたのは、幸が描いていたから・・ならわかる。

 

この漫画、プンプン一家をあのデザインで書いているのがとても良い。激しく揺さぶられた時には目の描写を入れて、心境によって姿かたちを変えて、変わり続けていくことで、核が読める。見える化。プンプンにおいては、子供プンプンが大人になってから現れることで、あの頃の気持ちになっているんだ、とわかる。人間の描写以上のささくれだった本人を感じられる。

目だけ、指先だけ、服装から、どんな人か想像できるのも楽しい。プンプン・・見た目良いんだろうな、とわかる。子供の頃ジャニーズ入りがどうとか言われていたからちゃんと顔は良いんだろう。顔が良くて静かで陰のある感じ。。惹かれる女子もいるだろうなーと。クズだからこそ・・何の魅力で引き寄せてるかわかんない主人公より、ダメな部分で引き寄せてる主人公の方が人間ぽくある。

 

この漫画、すごい面白かったな。プンプンは田中愛子に殺してほしかったのに叶わないところ、ましてや半生を漫画にされて公開される・・・幸による「私の」宣言とともに。でも、プンプンは悲しいとか辛いとかじゃなくて、苦しくてもやりながら生きていけるんだろうな。周りに恵まれたというのはあるけど、何しても悩んで自滅してめちゃくちゃになるんだから、幸せになんてならないんだろう。それでいい、それで良かった。