アマプラで。90分なのでさっくり観れました。
港町の掘っ立て小屋に住む兄妹。兄は足を引きずり、妹は自閉症。兄妹二人で生活しているが兄はリストラされ窮地に。妹の売春で稼げることを知った兄妹は一つの光明を見出すが・・・という話。
どうしようもない。作中でも言われていたとおり、兄は「頭が悪い」からどんどん悪いように転がり落ちていってしまう。生活保護しかり、妹の介護を外注するなり友人に警官がいるところから、何らか福祉で好転しそうな感じはするけど、そういった描写はない。自分たちで仕事をするか、ゴミをあさるか、金を借りるかという方法でしか生きていかない。恐らく・・・兄が福祉に頼りたくないと思っているんじゃないかと。
あの状況で何らかの援助を受けられるかどうかはわからないけど、公共の援助というのは役場に行って、役人に話をして、書類を書いて、手続きは全部自分たちでしないといけない。そういう手続きこそ煩雑になってたりして、うがった見方をすると、水際作戦ってことなんじゃないの、ともいえる困難さで、正直、あの兄妹だけでは難しそうだ。兄も兄で柔軟に対応できなさそうで・・・。
ああいう人達のことをまさか自己責任と言えやしない。今の感覚でいうとはぐれ者に見えるけど、何も悪いわけがなくて、昔の・・・昭和とかもっと前にはああやって1日をやっと生きる人たちがたくさんいたはずで、いつから見えないものになっていったんだろうと思った。(見たくない人たちによって・・・)
妹の売春で手ごたえを感じて、家中の古びて臭そうな目張りをボロッとはがした時に差した外の光がまぶしくてもう。「い、いけるぞ・・・!」とみんな思っただろう勝手な一体感が良かったな。まあ「絶対この後事件になるんだろうがな・・・!」とも思って辛くなるんだけど。
妹が楽しそうに気持ちよさそうにセックスするのが印象的で。小人さんのこと好きだったのかな?客から言えば風俗嬢にちょっと愛着わく、くらいの感覚だったのかもしれないけど幸せそうに見えて、良かったなあと温まるシーンだった。「(ちんちんは大人!)」が一番笑った。あの辺、妹も稼げること(役に立つこと)が嬉しくて、男の人からも大事にされて、必要とされてるのがすごくわかるからうきうきしててこっちも嬉しくなっちゃったな。
だから終盤の「仕事する?」が切なく聞こえて・・・自分で稼いで食べたマックほんとうに美味しそうだったもんな。
ラストシーン、最高だった。仕事させてるのかしてないのか、これからするのかわからないけど・・・、妹の希望のようなどうしても気になる表情がすごく良くて!もうあの仕事がない人生には戻れないんだなと。正しいと正しくないとかゼロイチで語れない、泥水みたいな終わり方が好きでした。
↓いい写真